旭川ペットの訪問鍼灸院はご自宅にお伺いして犬猫さんに鍼灸をおこなっています。
これまでに累計4175匹以上のワンちゃんや猫ちゃんに施術をおこなってきました。しかしまだまだ動物さんに鍼灸というとやっぱり「え?」と驚かれる方も少なくないんですね。
そこで、この記事ではこれまでに出会った子たちを振り返りながら、どのようなときに鍼灸や東洋医学を考えたら良いのかお話していこうと思います。
今回は<ワンちゃんの腰の椎間板ヘルニア>を取り上げます。
突然すぎて驚いてしまう腰椎椎間板ヘルニア
本当にちょっとしたきっかけで、起こってしまう腰の(腰椎)椎間板ヘルニア。
特にダックスフントさんやコーギーさんなど腰が長い子で起こりやすいとされています。
突然、左右の後ろ脚に力が入らなくなり、立てなくなってしまうことも少なくありません。
本人(犬)も驚きますし、もちろんご家族もびっくりしてしまいます。
症状の程度を表すグレードが5段階あります。特に最も重症なグレード5では浅いところ深いところの痛みの反射や肛門まわりの反射も消えてしまっている状態。
神経の働きがほぼ完全に失われてしまっているのがグレード5ということですね。
鍼灸はお薬との併用も可能!
重症度が高くなるにつれ生命に関わる脊髄軟化症が発生するリスクも高まってしまうとされています。
一般には、発症後48時間以内の手術が適応とされていますが、グレードによっては手術を希望されずお薬での治療を希望される飼い主さんも数多くいらっしゃいます。
腰椎椎間板ヘルニアのワンちゃんに対しては、反射がある程度残っている子(グレード4まで)は後ろ脚に力が入らずまるっきり立てなくても鍼灸が適応と考えています。
発症後1~3週間以内に鍼灸を開始できるのが理想です。動物病院で出されるお薬との併用も問題ありません。というか併用することをお勧めします。
腰の椎間板ヘルニアに対する鍼灸をより効果的に受けるにはコツがあります。
鍼灸を効果的に受けるコツ
それは決して効果を焦らないということ。
手術でも100%とは言えない腰椎椎間板ヘルニアです。鍼灸を受けたからと言って、劇的に変化することは少ないです。腰を落ち着けて向き合うことが何よりも大切!
最初の変化はとても小さいものです。見逃さないようにしてください。
例えば、鍼灸を受けると気持ちよさそうとか、鍼灸を受けたあと顔つきや目の輝きが変わったとか、動くようになってきたとか、こういう一つ一つが変化です。
このような薄皮一枚剥ぐような小さな変化を大切にしていくことで状態が変化していくのです。
そうすると暗くなりがちだったご家族の表情や雰囲気も変化してきます。腰は悪いながらもワンちゃんが元気を取り戻していくことで、ご家族の笑顔も戻ってきやすくなります。
そもそも腰の椎間板ヘルニアは、腰が長い胴長さんのワンちゃんの宿命です。どれほど注意してもなるときにはなってしまいます。
決して、自分たちを責めないようになさってください。
鍼灸を数回受けるとワンちゃんに起こること
実際に鍼灸を受けていただくと、発症直後は痛みがあるため大人しく受けてくれる子が多く、痛みが軽減するにしたがって鍼灸中も動いてしまう子が出てきます。飼い主さんの中には「大人しくさせなきゃ」と慌ててしまう方もいらっしゃいます。
もちろん施術に時間がかかることになりますし、ご協力は必要なのですが慌てる必要はありません。よくあることなんです。
しかも当院でお話しているリハビリは、そうやって元気な子の方が効果が出やすいリハビリです。つまり元気になることは嬉しいことだと思っておいてください!
もちろん、鍼灸がやりやすくて元気なのが一番嬉しいのですが(笑)
変化を積み重ねるためにできること
そして変化を大切にしながら施術を続けていくことで、だんだんと変化が積み重なっていきます。
実際の施術では、回復の程度に合わせたリハビリや心構えなどもお伝えしています。これらのポイントを大事にしていただけることでさらに効果が見えやすくなるのは間違いありません。
特に多いダックスフントさんの腰の椎間板ヘルニアでは平均して3~6ヶ月程度で、ふらつきなどは多少残っても歩けるようになる子が多いです。
最後に、腰椎椎間板ヘルニアになったチョコちゃんの動画をお見せします。鍼灸開始前後から動画を撮影してくださった飼い主さんの許可を得て、腰の椎間板ヘルニアがどのように変化していくのか分かりやすいと思います。