旭川ペットの訪問鍼灸院はご自宅にお伺いして犬猫さんに鍼灸をおこなっています。
これまでに累計4175匹以上のワンちゃんや猫ちゃんに施術をおこなってきました。しかしまだまだ動物さんに鍼灸というとやっぱり「え?」と驚かれる方も少なくないんですね。
そこで、この記事ではこれまでに出会った子たちを振り返りながら、どのようなときに鍼灸や東洋医学を考えたら良いのかお話していこうと思います。
今回は<ワンちゃんの慢性腎不全>を取り上げます。
ワンちゃんも腎臓が悪くなる
ワンちゃんの腎臓は猫さんほど高性能というわけではありませんが、それでもシニアになると腎臓に来てしまう子が少なくありません。
また10歳前の比較的若い子でも慢性腎不全を疑われる子もいます。
みなさんご存知のように腎臓というのはオシッコをつくって体に毒を溜めないように調節してくれる臓器です。この毒素が溜まってしまうと、うんちがカサカサになったり、食欲が落ちて体力が低下したりします。
また腎臓は血液をつくるホルモンも出しているので、貧血になったりもします。腎不全で貧血が出ていると、もうだいぶ病態が進行しているイメージとなります。
まだ7歳の若いワンちゃんで慢性腎不全と診断されていた子に鍼灸をさせていただいたことがあります。その子はすでに貧血が出ていました。
貧血があって余命も宣告されていた子
最初にその子に会ったときの印象は「まだ体力は残ってそうだな」というものでした。
鍼灸は簡単に言えば、身体をリラックスさせて、患者さんが持っている自己治癒能力を引き出す技術です。これは人でもペットでも同じこと。その子が持っている体力が大きなポイントなのです。
慢性腎不全が進行すると患者さんの体力は低下してきます。体力が衰え、衰弱してしまった後で「何とかしてくれ」と仰られても、鍼灸や東洋医学では無理は効きません。
体力が残っている段階で、鍼灸を始め、鍼灸に慣れてもらいながら、体調のコントロールや生活の質の維持や向上を目指すというのが、鍼灸との付き合い方です。
『11歳すぎたら犬猫さんにも転ばぬ先の鍼灸を』という当院のモットーにはそんな想いも込められているのです。
余命宣告から3年生きられた!
結果として、この子は初めての鍼灸から定期的に施術を受けつつ、2~3年ほども命を長らえてくれました。
鍼灸を受けることが好きな子で、足首まわりなどの大切なツボにもお灸をさせてくれる子だったのも幸いしたのだと思います。
実は、私が人の鍼灸の国家資格を取得して、ペットの鍼灸を始めた最初期の患者さんの一人です。当時、必死になって一生懸命患者さんやご家族にも向き合ったのを覚えています。
その思いを抱えながら、今でも鍼灸に向き合っています。